第15章 決戦
「全員!!止まれ!!動くな!!!!」
グラウンドの中心で、九条さんが叫んだ。
何が起きた?
「何してんだてめぇ!邪魔すんなや!」
「引っ込んでろ!!」
ギャラリーが騒ぎ出す。
「黙ってろ」
九条さんの凄みに、野次を飛ばしたギャラリーが押黙る。
「全員、聞いてくれ。犯人が見つかった。
もう俺たちがやりあう理由はない。
東卍総長、佐野万次郎。
デス・ロウはここで一旦手を引きたい。構わないか?」
「……わかった。
そのかわり、犯人の始末は俺たちに任せてほしい 」
「ああ、了解した」
二人がグラウンドの中心で握手を交し、戦いに幕を閉じた。
ギャラリーもゾロゾロと帰っていく。
でも、なぜ九条さん?さんは?
「救急車まだか!」
「三ツ谷君、これつかって背中止血してください!」
救急車?止血?
「…っ、タケミっち、どうなった…?」
「千冬!意識戻ったのか」
「ああ…今、どんな状況だ?」
「俺もよくわかってないけど、犯人が見つかったって…とりあえず休戦して……さんが、見当たらない」
「っ!さんっ」
千冬がボロボロの体で立ち上がり、さんの姿を探す。
「どこだっ、さん!………………ぁ……、さん……?」
千冬が何かをみつけ、膝から崩れ落ちる。
オレも急いで駆け寄ると、背中と頭部から血を流し三ツ谷君達に処置を受けているさんの姿があった。
「!?さんっ!?なんでっ……!」
遠くから救急車のサイレンが聞こえた。
「嘘だろ、さん、なんで…さんっ……!」
「千冬!しっかりしろ、大丈夫だから…」
「っ……!」
救急隊が到着し、運ばれていくさん。
そこに一緒に乗り込む九条さん。
オレはその様子を見ながら、千冬の肩を支えて必死に励ますことしかできなかった。