第3章 身をもって
メディ
「ゼフィランサスへようこそ、ランベールくん。そして、ヒガンバナへの異動おめでとう。…私は最高司令官のメディ·リシャール。宜しくね」
リアム
「…っ…あ、ありがとうございます」
メディから改めて告げられるそれに夢ではなかったのだと実感が湧き、リアムは息が詰まってしまった。
最高司令官はゼフィランサスの長で、下に連なっている基地のトップである為、全ての物事の決定権がある役職だ。
そんな男から直々に告げられているのだ、緊張し息が詰まるのも仕方が無い。
メディ
「君にはヒガンバナ基地にある"特別室"へ行ってもらう」
リアム
「…特別室、ですか?」
メディ
「嗚呼。どんな所かは行けば分かる。…期待しているよ、ランベールくん」
リアム
「は、はい!必ずそのご期待に応えてみせます!」
メディ
「うむ。元気があって宜しい。…外に迎えを呼んだ。あとの事はその者に聞いてくれ」
リアムは特別室がどんな所か分からなかったが、司令に期待される程の場所なのだと理解し自身が相当、昇格してしまった事に口元の筋肉が緩みそうになるのを何とか堪え司令官室を退室した
ゼフィランサスを出ると黒塗りの車が停まっており、車外に居た1人の男がお辞儀をして後部座席のドアを開け、リアムはそれに従って車に乗り込む。
男
「ランベール様はヒガンバナ基地には行った事がありますか?」
バックミラー越しに問われたそれに、リアムは素直に無いと答える。
それを見た男は、嬉しそうな…それでいてどこか楽しそうな笑みを浮かべた
男
「ヒガンバナ基地は、他の子基地よりも優秀な方が多いと聞きます」
リアム
「そうなんですか?」
男
「はい。誰だかは流石に分かりませんが…シンメに1年だけ通って卒業した方と通わず勧誘された方が数名いるらしいです。そこへ今から向かわれるランベール様も、さぞ優秀な方なのでしょうね」
うきうきと少年のように話し掛けてくる男の言葉にリアムは少し複雑そうに笑む。
リアム
「いや、俺は優秀では…シンメを卒業して4年も候補生でしたから」
男
「そうでしたか…。ですが、上がれない方もいる中で呼ばれたのですから凄いですよ」
肩を落としたリアムを見て男はそう言葉を紡ぐ。
その言葉にリアムは少なからず気分が上向きになった