第29章 終わりにしよう
エドゥアル
「自分勝手な理由だと…思われているんだろうな。だがここまで来て諦める訳にはいかないんだ」
彼しか居ない空間でその呟きは悲しげに響く
エドゥアル
「ユリスと僕とじゃ愛の種類が違う。ユリスは親子愛かもしれないけど…僕は一人の女性としてお前が好きだよ。種類が違っても愛しい人を何者からも守りたいと思うのはおかしい事じゃない…本気度だよ。ユリス…僕の愛の方がお前よりも大きいのを証明する」
どこかユリスと張り合う様な言葉と…自分のやっている事が間違いじゃないと確認するかのような言葉。
彼の視線の先にはエドゥアルとユリスが巫山戯て撮った写真がたてられていて…その隣にはユリスが作った花冠を被りながら満面の笑みをカメラに向ける幼いレティシアが写っていた。だが、それはユリスが撮ったもの
エドゥアル
「やっぱり凄いよ、お前は。…彼女を笑顔に出来るんだから。最高で最悪な親友だよ」
ふっと笑んでからエドゥアルは写真に背を向けて部屋を出て行く
ポルデ
『これ…聞こえているか?』
ノア
「おう、ちゃんと聞こえてる」
ポルデ
『良かった…』
端末からかかってきたポルデとの通話。彼の姿は大画面に映し出されていた
初めて使う端末で声が届いているか不安だったポルデの問にノアが笑みながら答える
ルシアン
「何かあったのか」
ポルデ
『嗚呼…昨日から大型魔獣だけでなく小型の魔獣まで暴走している』
ルシアン
「何…?」
ポルデ
『何とか鎮めてはいるが…数が多過ぎる』
オリヴィア
「本当だわ…特別室にも沢山の通報が入っているし、これも」
オリヴィアが見せたのは街で暴れる小型魔獣の姿
レティシア
「くそっ…これもエドゥアルのせいか…」
レティシアが悔しそうに拳を握った瞬間、ソフィアが椅子から思い切り立ち上がって特別室メンバーの方へ振り向く。
それに驚いて全員がソフィアの事を見る