第27章 彼女の地雷
オリヴィア
「けど、良かったわね」
ソフィア
「何が、ですか?」
コーヒーを飲みながらスマート端末の液晶を見ているオリヴィアの言葉にソフィアが問い掛ける。
オリヴィア
「だって、あの日のパーティーでフォンテーヌ家の長女だってバレたんでしょう?それなのに世間は騒いで無いわ」
ソフィア
「あ…確かに、そう…ですね」
レティシア
「ふぁ……そりゃ、私がフェリックスに頼んで釘を刺したからな」
オリヴィア
「あー…」
欠伸をしながら告げられたそれが簡単に想像出来て、オリヴィアは納得の笑みを零した。
レティシア
「バレたらうるせぇし…ぜってぇ面倒臭い事になる」
ノア
「身体が弱いみたいな感じにして屋敷から出れないって体だったし、相当なスキャンダルだろーね」
レティシア
「嗚呼。…んな負担あの人等になら別だが、クラリスにはかけたくねぇ。それに媚び売られんのも嫌だしな」
最も力を持つフォンテーヌ家の者だとばれれば、今まで毛嫌いしていた者も掌を返してレティシアに好かれようとするだろう。欲に塗れた腹の中で何を考えているか分からないような存在に囲まれるのを、レティシアは避けたかった。
今のまま…今まで通りの生活をこれからも続けたかった。
ジルヴァ
「ゥ……」
レティシア
「ジル…?」
ジルヴァ
「にゃ……」
話しているとレティシアの隣で長時間、眠りについていたジルヴァが動き…レティシアが顔を覗き込むと愛らしい瞳が彼女と重なった。
相当な疲労感だったのだろう…このまま目が覚めなかったら、レティシアがそう考える程にジルヴァは眠っていた。目が合った事に安堵してレティシアはジルヴァの頭を優しく撫でる
レティシア
「おはよ…ジル…良かった」
首元に顔を埋めて思い切り息を吸い込んでジルヴァが居る事を実感する。その温もりが痛い程嬉しかった。
ジルヴァが目が覚めた事に特別室メンバーも安堵し…2人の姿を優しい笑みを浮かべて見詰めていた