第27章 彼女の地雷
ウェディー
『聞こえるの。微かにここで聞こえるはずのない……ジルちゃんの声が』
レティシア
「は…?」
予想もしていなかった言葉にレティシアは固まる。
ウェディー
『早く来た方が良いわ。私は力が無いし、立場的にも彼を助けられそうにないから。とにかく早く来た方が良い』
レティシア
「…秒で行く」
静かだが鋭く尖った声に特別室メンバーは、レティシアを見る。纏う空気だけで人が殺められるのではないか、そう思う程にぴりついている。
ウェディーとの会話を終えたレティシアは全員の方に向き直ってから、ゆっくりと気持ちを落ち着ける様に息を吐き出す
レティシア
「ジルが誘拐された。今からくそ研究所に行くぞ。…ジルに何かあったら冷静でいられないのは自分が良く分かってる。だから、他に目が向かなかったりすると思う。だから、皆……っ!?!?」
リアム
「レティシア!?」
ノア
「姫さん!」
突然、手袋がはまった右手を押さえてレティシアがしゃがみこんでしまう。
レティシア
「くそ…ジルが危ねぇ…」
ルシアン
「レティシア、行くぞ」
レティシア
「嗚呼…!」
痛みに僅か汗を握ませつつもルシアンの声にしっかりと頷いて立ち上がる。レティシアの周りにルシアン達が囲む
ノア
「姫さん平気?オレやるよ?」
レティシア
「そうか?…なら、頼む」
ノア
「任せて!……ルーウェルっ」
ノアが呪文を唱えるとウェディーがいる研究所に瞬間移動していた。
ウェディー
「来たわね。…あっちよ」
ウェディーが指さした方向へレティシア達は急ぐ。
するとそこにはガラス張りの大きな部屋があり、そこに…大型魔獣の姿になったジルヴァが手脚と首を鎖で繋がれて暴れていた
リアム
「何で…レティシアは手袋してんのに」
レティシア
「無理矢理、元に戻しやがったんだ。だから、私の手が痛かったんだろう」
そう言葉を吐き出しつつも機械の前にいる研究員が何かのボタンを押そうとした瞬間
レティシア
「フィピテオ!」
研究員
「くっ…!?」
突然、身体が縛り付けられた研究員は地面に倒れて驚く。
レティシア達がその場に現れると研究員、全員が息を呑むのが分かる