第27章 彼女の地雷
翌朝、目を覚ますとレティシアは違和感に襲われる。
レティシア
「ジル…?」
腕の中にいた筈のジルヴァがいなくなっていた。
ベッドに居ないだけでなく、部屋を探し回っても姿が無かった。
変な胸騒ぎを覚えたレティシアは、慌てて身支度を整え特別室へ駆け込む
ノア
「おはょ、姫さん」
レティシア
「嗚呼、おはよ…ノア」
ルシアン
「レティシア?どうかしたのか」
すぐ様、レティシアの異変に気が付いたルシアンが彼女に近付く
レティシア
「なぁ、ジル見てないか?」
ノア
「ジルくん?見てないけど…どうしたの?」
レティシア
「目が覚めたらどこにも居ないんだ」
リアム
「散歩に行ったとか?」
ルシアン
「いや、ジルはよっぽどの事がない限り昔からレティシアの傍を離れない」
リアム
「ならそのよっぽどの事があったとか…?」
リアムの言葉に全員が、はっと息を呑む
レティシア
「嫌な感じがする…」
手掛かりも何も無い状態にレティシア達は黙ってしまう。
すると、レティシアのスマート端末が震え…それに出るとウェディーからだった。
ウェディー
『不思議な事があるのよねぇ』
出て早々の彼女の言葉にレティシアは眉間に皺を寄せる。
いつものウェディーのお巫山戯に付き合う余裕の無いレティシアの声は、普段よりも尖ってしまう
レティシア
「何だ」
ウェディー
『所長がすっごく頑丈な箱を持って帰ってきたの』
レティシア
「んなくだらねぇ事なら切るぞ」
ウェディー
『まぁ、待ちなさいって。…私ね、思ったの。所長達に本当の事を言わなくて良かったって』
レティシア
「はぁ?」
何が言いたいのか分からないレティシアは、早くジルヴァがどこにいるのか探したい気持ちな急かされている為、呑気な言葉に苛立つ
ウェディー
『私の耳は彼らが思ってるよりも聞こえるのよ』
レティシア
「あのな…私は今それどころじゃないんだ」
ウェディー
『もう、せっかちなんだから。あと少しだから聞きなさいよ』
レティシア
「さっさとしてくれ」
息を吐き出しながらレティシアは、額を押えてウェディーを促す