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Smile Bouquet

第26章 呪縛と秘密




呼ばれた母もクラリスへ視線を向ける


アリシア
「何かしら…?」

クラリス
「母様…姉様が自分の娘だから言う事を聞いてくれる、そう思ってはいけません。私は…恥ずかしながら何も知りません。ですが…何もされていないのに強い言葉をかける方じゃないと、共に過してきてはいませんが…分かります」

アリシア
「………」

クラリス
「幼い頃…私が姉様を見付けてお誕生日の言葉を掛けていた時、母様は無理矢理…私を引き離しました。姉様のお誕生日はめでたくは無いと…今でも覚えています。……暴力は人を傷付けます。でも、言葉も人を傷付け…深く残ります。母様が分からない訳はありませんよね?」


クラリスの表情は次期当主を背負った強い女性だった。


クラリス
「私は母様に長く生きて欲しいです。だから、姉様の力を借りたいです。でも、当の本人があんな態度では…誰だって助けたいとは思いません」

レティシア
「……クラリス、良い。この人に何を言ったって無駄だ」

クラリス
「姉様…」

アリシア
「……レティシア…」

レティシア
「何だ。…安心しろ、クラリスの頼みだから変な魔法はかけたりしねぇよ。あんたの為じゃない。クラリスの為にやるんだ」


レティシアの言葉に母は一度視線を落としてから、彼女を見上げる


アリシア
「許される事じゃないのは分かっているわ…でも、貴女を傷付けた事…許して欲しいの。ごめんなさい…私を治して」


許せるわけが無い、レティシアは正直にそう思ったし…彼女が本心から謝っているのか分からなかった。自分が治して欲しいから言っているだけの様な気がして…気分は良いものではない。

だが、クラリスが望むならとレティシアは母へ掌を向ける


レティシア
「フィピテオ」


すると、母の身体を淡く暖かい光が覆い始める。
それは次第に母の身体を襲っていた痛みと倦怠感が驚く程に消えていく。それが分かると母は、思わず安堵の息を零す。
光が消えるとレティシアは母に背中を向ける


レティシア
「帰るぞ、リアム」

リアム
「え?あ、嗚呼」


口を挟んだら良くないと黙っていたリアムは突然、向いた視線に驚きつつも頷く



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