第25章 突然の別れ…?
ルシアン
「レティシア…本当に良いのか?」
レティシア
「嗚呼…」
ノア
「けど、姫さん…っ」
レティシアはジルヴァを地面に置いてゆっくりと右手の手袋を外す。元の大きさに戻ったジルヴァはレティシア達を不思議そうに見詰める
レティシア
「……君の好きにしな。私の、ずっと一緒に居て欲しいっていう我儘に付き合わせてきてしまった。だから…これからは君の好きな様に生きて欲しい。元気でいなよ」
ジルヴァへ言葉をかけるレティシアの表情はとても切なくさせる。目に涙を溜めて、心では本当は離れたくないと叫んでいるようで。
だが、彼女が決めたのに自分達が止めるのはおかしいだろうと3人もジルヴァを見て…各々が言葉をかける
ジルヴァ
「………」
暫くその場に居たジルヴァだったが、不意にレティシア達に背を向け翼を羽ばたかせて飛んで去って行った。
それを悲しそうに全員が見詰める。
ルシアン
「レティシア…」
レティシア
「ルシアン…っ」
ルシアン
「ジルなら大丈夫だ」
ルシアンの声にレティシアは振り向き、彼の胸板に顔を埋める。
ノア
「そうだよ。大丈夫…ジルくん強いし」
リアム
「嗚呼。…どこでもやっていける」
皆の暖かい言葉にレティシアの瞳からは涙が溢れて止まらなかった。基本的にルシアンの前以外で涙を見せないレティシアも、大事なジルヴァの別れともなればそんな事…気にしていられなかった。
リアム
「ん?」
ノア
「どったの、リアムくん」
リアム
「や、あれ…」
ノア
「ん?…えっ…ちょ、姫さん…あれ!」
ノアの声にレティシアは顔を上げる。
するとそこには白く綺麗な羽を揺らして飛んでくるジルヴァの姿があった。やがて、彼はレティシア達の前に降り立った。
ジルヴァは咥えていた何かを地面へと置く
それは、地面を覆う姿が美しいネモフィラの花だった。その花を見た時、レティシアが綺麗だと喜んでいた。
覚えていたジルヴァは悲しそうな彼女を喜ばせたくて土ごと咥えて持ってきてしまったのだ
その優しい気遣いにレティシアは、今度は悲しさからでは無い涙が零れる