第24章 新任務
レティシア
「早速ですが…依頼の件について詳しくお聞きしても?」
村長
「あ、はい」
レティシアの言葉に村長は1つ頷くとゆっくりと湯呑みに口を付けてから、顔を上げ座り直す
村長
「この村は豊かでは無いが村人達が助け合い笑いが絶えない所だったんです。…だが、ある日…森の方から大きな音がした。その音の正体は大きな蛇の様な魔獣だった。我々では対抗する事も出来ず…魔獣を狩っている者や腕に自信がある者に頼んだ。だが…」
リアム
「誰も倒せなかった…?」
村長
「はい。…数々の人に頼んできましたが皆、無理だと逃げ出すんです。最初は期待していた村人も今では誰も倒せないと期待していません」
レティシア
「だから、歓迎ムードでは無かったというわけですね」
村長
「そうです。村長である儂の信頼も既に無い。また無駄な事を思われておるでしょう。…こんな失礼な態度の村を救うなど、気分が乗らないとは思うんです。だが、魔獣を取り締まるのが専門だという貴方がたしか…もう頼れない。貴方がたには申し訳ないが…村長として村人を守りたい…この村が…村人が大事なんです。また彼等に笑ってほしい…だから、どうか…この村を救ってはくれませんか。お願いします…っ」
正座をして床に額を当てながら頭を下げる姿を見て全員が心を痛めた。無責任に何とかすると言って、もしも倒せなかったら再び彼等を絶望させてしまう。
指揮官であるレティシアの決定に従おうと全員が彼女へ視線に向けたが…
ジルヴァ
「にゃ…!」
とてとてと白い尻尾を揺らしながら村長の近くに行き、まるで任せろとでも言っているようなジルヴァの声に村長は顔を上げて驚く。
何を言っているかは分からないのに何故か伝わってくるような感覚に、ジルヴァのビー玉のような瞳を見詰める
レティシア
「ふっ…」
リアム
「レティシア?」
レティシア
「ジルヴァがやる気満々なんだ。断る訳にはいかないだろ」
村長
「じゃあ…!」
レティシア
「必ず…何とかしてみせます」
リアム
「お、おい…んな無責任な事…」
レティシアの言葉にリアムが小声で突っ込むが既に彼女はやる気しか無いようで、慌ててルシアンへ視線を向ける