第5章 助けたい気持ち
男3
「あんた1人で?舐められたもんだな…」
レティシア
「は?あんた等なんて私1人でも多いくらいだろ」
男1
「てめ…!」
レティシア
「フィピテオ」
男達
「……っ…!」
レティシアが掌を前に出して呪文を唱えた瞬間、その場には赤子とリアムだけが残った。
これが魔法か…と間近で見たそれに圧倒されていた
男2
「…っ……外…?」
レティシア
「あの場で暴れられちゃ赤ん坊が怪我しちまうからな」
先程まで屋内にいたのに瞬きのうちに屋外へ出ていて、3人は酷く驚き既に腰を抜かしそうであった。
だが、捕まるわけにはいかず魔法の使えない2人はその男の背後に隠れる
男3
「な、何とかしてくれ…!」
男2
「そうだ!俺等、魔法使えねぇから…!」
男1
「よ、よし…」
そう返事したものの男は冷や汗が止まらない。
目の前で腕を組んでいるレティシアの魔法の腕は明らかに自分よりも遥か上にあったからだ
男1
「そんな簡単に…やられるわけには…!」
掌を前に出して男が呪文を唱えると数多の矢がレティシアに向かっていく
男2
「やった…!」
男3
「いや…」
あれだけの数があれば1本くらいは刺さったのじゃないか、そう思い喜んだものの砂埃が晴れ見えたのは…水色の硝子のような物で矢を弾いた、無傷なレティシアだった
レティシア
「だから言っただろ。私1人でも多いとな……フィピテオ」
男2
「ぐっ…」
男3
「……ぅ」
男1
「くそ…っ」
男達の身体は縄で縛られ身動きが取れなくなって地面に転がった。
男1
「……っ…お前みたいな魔法強い奴は、良いよな…!こんな世の中でも、幸せに生きてきたんだろ!」
レティシア
「……そんなわけないだろ。自分の勝手な想像で私の過去を書き換えるな。自分だけが苦しかったみたいな顔するな」
男1
「……っ…!」
魔法が使える男を見下ろすレティシアの紫の瞳は、とても冷たくてそれだけで息がしづらくなる。
それをちょうど赤子を救い出したルシアンとリアムが見ており、ルシアンがゆっくりレティシアに近付く