第21章 対象者の壁となれ
内緒話を終えると未だ不思議そうにしている、キールの方へ顔を向け
レティシア
「ランナは真面目で頑張り過ぎるみてぇだから、キールも大変だな」
キール
「へ?…んー、そうですね。レティシアさんの言う通りです」
ランナ
「……っ」
大変だと、素直に認めるキールの言葉にランナは思わず傷付いて俯いてしまう
キール
「でも、真面目で頑張り過ぎるそいつが近くに居ると俺ももっと頑張んなきゃって思えます。…俺がストップかけないと止めないんで本当、目が離せないです」
ランナ
「ちょ…っ」
キールの言葉にランナは分かりやすく戸惑い、頬を紅潮させた。
何となくランナの放つ空気でキールは、レティシアに悩みを打ち明けたのだと理解し…
キール
「だから、俺が守ってなんなきゃって思うんです」
ランナ
「〜〜〜っ…」
レティシア
「ほう…」
ルシアン
「おお」
キールの言葉にレティシアとルシアンは何だ両想いかとニヤニヤし、ランナと…何故かリアムまで顔を真っ赤にした。
そこへ空気の読めない声が掛けられる
ドレイク
「いや、すまない。待たせたな」
ランナ
「……っ、お…お帰りなさいませ、ドレイク様っ」
ばっと立ち上がりドレイクを見るランナ。
だが、ランナの膝に乗っていたジルヴァは思い切り飛ばされる
ランナ
「あっ!ジルヴァくん…!」
ランナとキール、ドレイクまでもが慌てた様に両手をジルヴァに向けて伸ばしたものの…ジルヴァはパタパタと羽を揺らして飛んでいた。
レティシア
「安心しろ。それくらいじゃジルヴァは怪我しない」
リアム
「逞しいもんなっ」
それを聞いたランナは大きく息を吐き出してジルヴァを見る
ランナ
「ごめんね、ジルヴァくん。飛ばしちゃって」
ジルヴァ
「にゃ…!」
特に何とも思っていないのかジルヴァは、小さく鳴いてランナに無事を知らせている様だった。
今回の任務でランナの心にはゆとりが出来た様に思えたキールは、レティシア達に感謝するしか無かった。