第21章 対象者の壁となれ
レティシア
「ところでランナ…」
ランナ
「は、はい…?」
ジルヴァを撫でたり写真を撮っているランナを見ながら、レティシアはニヤニヤした顔を彼女へ寄せる。
その意図が分からなくて突然、近付いてきた綺麗な顔に戸惑う
レティシア
「あんた…キールの事…」
ランナ
「……っ…」
レティシア
「好きだろ」
ランナ
「わあぁぁっ…!」
いきなり聞こえてきたランナの悲鳴に驚いた男性陣は慌てて駆け寄る。
キール
「ランナどうした、何かあったのか!」
焦ったキールの声にランナは顔を真っ赤にさせて、ぶんぶんと音がなりそうな程に首を横に振る。
だが、それを楽しむ様にレティシアはキールへ声を投げる
レティシア
「いや、ランナがな…」
ランナ
「わぁっ、レティシアさん…!」
レティシア
「むぐ…っ」
ルシアン、リアム、キール
「??」
何を言うのか分からないが、良からぬ事を言うんじゃないかと思ったランナは慌ててレティシアの口を手で覆い塞ぐ。
いつの間にか打ち解けているのを見て3人は、きょとんとしながら2人を交互に見る。
キール
「ま、まぁ…良く分かんねぇけど…打ち解けた様で何より」
リアム
「確かに」
ルシアン
「まったく…」
ルシアンはレティシアが何をしようとしたのかを理解して額に手を当てて溜息を零した。
それからランナは小声でレティシアに注意する
ランナ
「レティシアさんっ…それこそ呆れられちゃうじゃないですか」
が、好意を寄せている事については否定しない彼女にレティシアは続ける
レティシア
「関係ねぇだろ。人を好きになんのに、誰かの許可も文句を言われる必要もねぇ。…それに、キールはそんな奴じゃないってランナが1番知ってるだろ?」
ランナ
「うっ…」
レティシア
「それにな、これだから女はって言ってくる奴もいるかもしれねぇ。けど、その女にしか出来ねぇ事だってある。そんなくそ共に負けんじゃねぇぞ?」
ランナ
「レティシアさん…」
優しく綺麗に微笑むレティシアの言葉にランナの涙腺が緩みそうになる。
重みのある言葉と考えた事も無かった、自分にしか出来ない事…それを気付かせてくれたレティシアにランナは感謝し、同時に素敵な人だと実感する