第20章 彼女が知らない彼の真実
それから月日は流れフェリックスが13歳の頃、偶然街でレティシアに似ている人物を見かけた。
恋焦がれ続けている存在を見間違える様な目を持っていないフェリックスは、彼女がレティシアであると確信した。
ヒガンバナの紋章を見て彼女が守護官になった事を知り、フェリックスはすぐ行動に移した。
両親からの許可を得てフェリックスはゼフィランサスの司令官であるメディに会いに行った
メディ
「驚いた。君の様な人材が此処を尋ねてくるとは…それで、用というのは?」
にこやかな笑みを浮かべるメディを見ながらフェリックスは口を開く
フェリックス
「守護官になりたいんです」
メディ
「ほう…?」
流石のメディも予想していなかったのか僅かに目を丸くしている。だが次には嬉しそうに笑った
メディ
「勿論、歓迎するよ。…君には是非アクアマリンの指揮官長を頼みたい」
シンメに通わずして、いきなりアクアマリンの指揮官長を任される事など一般的には有り得ない。
それだけフェリックスの実力は桁違いという事だ
フェリックス
「我儘を申してすみませんが、アイリス基地の指揮官にして頂けると嬉しいです」
またもや予想もしていなかった言葉にメディは数度瞬きをする。
メディ
「ふむ…それは何故か聞いても良いかい?」
フェリックス
「私情で申し訳ないのですが、少しでもレティシアと近い役職が良くて…」
メディ
「レティシアくん?」
此処で何故、彼女の名が出てくるのか分からなくてメディは首を傾げる。
そんなメディに視線を向けながらフェリックスは理由を述べる
フェリックス
「私は彼女を好いています。基地は違えど接点がある役職を希望しました。私情ではありますが、職務には一生懸命に励むつもりです」
フォンテーヌ家とシュヴァリエ家なのだから接点があるのは分かっているし…ユリスから事情をある程度は聞いていたため知ってはいるが、メディはフェリックスの真剣な眼差しを見て…その役職に就く事を許可した。
それからフェリックスは日々、自分の言葉を守り懸命に指揮官として動いた。
レティシアと再会する事も出来たものの、彼女からの反応は良くない。だが、それで諦める程の思いではなかった─…