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Smile Bouquet

第20章 彼女が知らない彼の真実




そしてあっという間にその日は訪れた。
久し振りに合うレティシアの雰囲気や表情は、初めて会ったあの日とは違うものだった。
両家の親の話が盛り上がる中フェリックスはレティシアを誘った


フェリックスの一歩後ろを俯きながらついてくるレティシアを見て彼は口を開いた



フェリックス
「君に会うのは4年ぶりかな」

レティシア
「……さぁ」

フェリックス
「覚えてない…か」


彼女の素っ気ない返事に眉を下げる。
覚えてもらえていないという事実が4年の長さをフェリックスに教え込む。


満里奈
「私…」

フェリックス
「?」


彼女の声に脚を止めて振り向くと、装飾品で豪華なドレスの裾を軽く握ったレティシアと丁度視線が重なる


レティシア
「私は…許婚なんて、いらない」


その言葉にフェリックスは思う。
あぁ…御両親が勝手に決めたものだったんだな、と。
だが、その思いを素直に口にする事はせずフェリックスは声を上げ


フェリックス
「でも、君の御両親は喜んでくれているよ」

レティシア
「親が勝手に決めた婚約…でしょ」


違って欲しかった現実を直接、彼女の声で突き付けられる。
胸を抉られる様な気分になり息苦しさを覚える。
だがそれと同時にフェリックスが見てきた令嬢とは違う強い瞳と意志のようなそれに、どうしようもなく焦がれてしまう。
だから、彼女と言葉を交わせるこの時間を無駄にしたくないと想いを述べようとする


フェリックス
「そうだとしても。俺は君が婚約者になってくれるの嬉しいんだ。…俺は君が好─」

レティシア
「それ以上言ったらあんたの口を裂く。…親の言いなりになって、そうですか結婚しますなんて思わないで。私は嫌。あの人達の言いつけなんて守らないから」


あの日、色んな人に幸せを与えていた笑顔を浮かべる彼女とは別人では無いかと疑う程にレティシアの言葉は強かった。

彼女の言葉にフェリックスは驚いた。
が、少女であるのに大人の女性よりも強く美しいその姿にまた強く惹かれている事に気が付いた頃には、身体を浮き上がらせたレティシアはどこかへ飛んでいってしまった



フェリックス
「いつか必ず…君に会いに行く」


まるで…このままフォンテーヌに彼女が戻らないのを見透かしているかの様な言葉をフェリックスは呟いた



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