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Smile Bouquet

第20章 彼女が知らない彼の真実




【フェリックス·シュヴァリエ】



貴族三大勢力の中で2番目に力を持つシュヴァリエ家に輝く様な金の髪に、綺麗なスカイブルーの瞳が印象的な男の子が誕生し、フェリックスと名付けられた。


両親は彼を大事に大事に育てた。



フェリックスが3歳の頃に、母のイリーネが気に入っている庭の花を共に見ていた時の事…



イリーネ
「まぁ…!」


眉を下げて駆け出したイリーネは芝に膝をつく。もうすぐ咲きそうだと喜んで話していたユリは咲く前に萎れてしまっており、イリーネは酷く傷ついた。
それを見たフェリックスは母に、そんな顔をして欲しくなくて萎れたユリに近付き優しく撫でる様な動きをしながら心の中で"頑張って咲いて"と、無理なお願いをした

そんな息子の優しい姿を見てイリーネは心が暖かくなった



イリーネ
「ありがとう、フェリックス。…次は咲い……え?」

フェリックス
「あ…!」


目の前の出来事にフェリックスは喜び、イリーネは驚いた。
萎れていたユリが綺麗に咲いていたのだ。


イリーネ
「まぁ…凄い。もしかして貴方…魔法が使えるのかしら」


不思議そうに呟きながらも隣に立っている息子の両肩を優しく掴んで、陽だまりの様な暖かな笑みをイリーネは浮かべ


イリーネ
「ありがとう。貴方のおかげで綺麗なユリが見られたわ」

フェリックス
「嬉しい?」

イリーネ
「ええ、勿論よ。私が悲しそうに見える?」


じっとスカイブルーの幼い瞳は、同じスカイブルーの母の瞳を見詰めてから、ぶんぶんと首を横に振る


フェリックス
「見えない」

イリーネ
「でしょう?フェリックスのおかげよ」


肩を小さく揺らして綺麗に笑むイリーネは華奢な両腕を広げ息子を、ぎゅうっと抱き締める。
それが嬉しくてフェリックスもまた幼い手で母を、ぎゅうっと抱き締める。


こうしてフェリックスに魔法が宿っている事を知ったシュヴァリエ家だったが、フォンテーヌ家とは違い魔法を受け入れたのだ。
フェリックスの両親は歴代の中でも、心が暖かく優しい事で有名だ。この2人だったから魔法を発動しても変わらず大事に育てたのかもしれない。

そんな2人だったからこそ、国民に知れ渡っても受け入れられたのだろうと使用人達の間でも話題になった。



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