第19章 束の間の休息
リアム
「そこは私が居る、じゃねぇのかよ」
レティシア
「そんな事は言えん。私は護衛が苦手だからな」
ノア
「姫さん…それ堂々と言う事…?」
レティシア
「自信がある!と言って失敗したら良くないだろう。それに過度な期待は避けられるからな」
リアム
「何だよそれ」
レティシア
「よし、笑ったな」
リアムが思わず笑みを吹き出すと、レティシアは優しく顔を綻ばせミルクティー色の髪を、わしゃわしゃと掻き混ぜる
リアム
「わ、止めろよっ」
文句を言うリアムに緊張は無くなり、変わりに照れが生じ彼の頬は僅かに紅潮していた。
その日、下船まで6人の笑い声が船に響いていた─…
─ 2日後 ─
レティシアは任務の内容を聞くために特別室には無い為、ヒガンバナ内にある会議室でフェリックスと向き合っていた。
フェリックス
「会合が行われる会場までの送迎が護衛任務だ」
レティシア
「ボディーガードがいるんじゃないのか」
フェリックス
「勿論いる。だが、今回の会合を行わせたくない組織が脅迫状を送ってきた」
レティシア
「成程…でも、脅迫に屈せず会合へ向かう事を決めたというわけか」
フェリックス
「嗚呼。それで何があるか分からないから、優秀な魔法使いが居てくれたら心強いと、接点のある俺に依頼してきたんだ」
レティシア
「たく、尚更あんたが行ってほしかったよ」
溜め息を吐き出して告げるレティシアの言葉にフェリックスが僅かに申し訳なさそうにする。
それから、誰が向かうのかも話し必要連絡は終わった。後は約束の時間になったらルシアンとリアムに会議室に来てもらい当日の動きを確認するだけなのだが、予定よりも早く終わってしまった
レティシア
「ずっと疑問だったんだが…」
フェリックス
「何だ?」
レティシア
「…詳細は連絡するんじゃなかったのかよ」
腕を組み不満げに吐き出したレティシアの表情は不機嫌だ。
フェリックス
「直接の方が伝わりやすいだろう」
レティシア
「任務が立て込んでるから護衛を頼んだんだろ。しかも態々、指揮官で当主のあんたが来るなんて暇じゃないか」
嫌味を込めて皮肉るレティシアの言葉を聞いてもフェリックスは怒る事は無く、彼女へ視線を向ける。