第18章 揺るがない物をくれた君
ノアの頭から離れない人が居た。…レティシアだ。
身を呈して自分を守ってくれて、痛みに耐えながらも笑う姿はとても格好良いのと同時に強く美しかった。
女性は大事にされて当然であり守るべき存在、そんな女性からあんな風に守られた事が初めてだから…というのもあるが、率先して戦う姿が格好良ったのもありノアは…レティシアに心を奪われた。
これは今までに感じた事の無い感覚だった。
勿論、彼女達を愛している…それと同じだと思っていたが、どうやらそうではなく…本当の恋をしたらしい。
そして、17歳になったノアはある決意をしていた。
ノア
「フェリックスさん、ちょっと良いですか?」
フェリックス
「何だ?」
ノア
「その…オレ基地、移りたいです」
フェリックス
「…ヒガンバナ基地に、か?」
ノア
「はい」
言わずとも当てられるのは、ずっとペアを組んでいたからだろう。
自分を守護官にしてくれて色んな事を学ばせてくれたのはフェリックスだ。だから、言い出すのはとても苦しかった。
ノアが移りたいのは惚れたからでは無い。
彼女の下について今度は自分がレティシアに何かあった時、守りたいと…彼女の力になりたいと思ったからだ。
フェリックス
「そうか…ノアは優秀だから他を見付けるの、また苦労しそうだな」
浮かべる笑みはどこか寂しげで、ノアは申し訳なくなる。
ノア
「オレを見付けて、守護官にしてくださり…本当にありがとうございます。オレ…フェリックスさんの下でこんなに信頼されて働けて幸せでした。オレが成長出来たのはフェリックスさんのおかげです」
フェリックス
「そんな風に言ってもらえるなんて、勧誘して正解だったな。…お前が来てから仕事がやりやすくなった。俺こそありがとう。…向こうへ行っても変わらず頑張れよ」
ノア
「…ありがとうございます!」
時々強引で冷たい瞬間もあるが、やはりノアの中で1番印象にあるのが…この優しい微笑みだ。
改めてこの人の下で働けて幸せだったと思った。
その後フェリックスが手続きをして、ノアはヒガンバナ基地の一員となったのだ