第18章 揺るがない物をくれた君
しんっと静まり、張り詰めた空気が漂う中で全員が神経を研ぎ澄ます。
暫くすると中から大勢の声が上がり殺める為に使われている武器の音や銃声が響くと、レティシアとフェリックスが両サイドに居る者達に扉を開けるよう指示を出す
扉がいきなり開いた事により中で傷つけ合っていた者達は驚いて手が止まる。
その隙に守護官達が一斉に廃工場へと雪崩込む
「くそっ、何だ!?」
「守護官か!」
戸惑いが見られたものの後戻り出来ない彼等は再び攻撃をし出す。そこに守護官も交ざり確実に無力化していく。
「巫山戯んな!」
レティシア
「巫山戯てんのはどっちだって話だ」
「ぐっ…!」
レティシアが回し蹴りをすると巻き込まれて3人が地面に倒れ込む、その男達を他の守護官が捕まえる。
一部が無力化し一部が捕まえる、放っておかないこの方法の方が動けない隙に相手を攻撃するのを防ぐ為だ。
ノア
「すっげぇ、数だな…やっぱ」
「邪魔すんな!」
ノア
「おっと…ルーウェル」
「おあっ!」
ナイフを振り下ろされるのを、さっと避けすぐさま魔法を発動させると男に縄が巻き付いた。
フェリックス
「キリがないな…」
「どけ…!」
フェリックス
「ふん。…ボイターク」
「うわっ…!」
「何だ、くそ…!」
面倒臭そうに呟いたフェリックスが呪文を唱えると、その場に植物が生えツタが一気に10人を捕まえ、そのまま外へと出してしまう。
確実に人数を減らしていく守護官達が優勢だ。
このままいけば全員を捕まえる事が出来る、と皆が改めて気を引き締める
「くっそ…!」
ルシアン
「ノア!危ない!」
ノア
「…っ!?」
男2人の腕を捕まえているルシアンの声にノアが振り向くと、柄の長い槍のような鋭い刃物がすぐ近くまで迫っていて、体勢を整える時間が足らない。
魔法を出そうにもテンパってしまって想像も上手く出来ない
ノア
(仕方ない…致命傷を避ければ…!)
全ての動きは驚く程スローモーションに見える中でノアは刺される覚悟を決めた