第16章 正体
それから数日後、レティシアは全員に声を掛ける。
自分のデスクで作業をしながら彼女が話す内容に耳を傾ける
レティシア
「指揮官長に1番近いのはやはり補佐官だ。特別室の様にラフな感じじゃないからな…その辺の奴しか指揮官長の深い所までは知らねぇだろ」
オリヴィア
「確かにそうね。というより、うちが特殊なのよ」
レティシア
「そうか?」
白衣に手を突っ込み立ったままコーヒーを飲みながら発したオリヴィアの言葉に、レティシアが不思議そうに首を傾げる。
司令官や指揮官長、指揮官は基地の長な為ラフに話し掛けたり軽口を叩きあったりする様な役職では無い。
敬語ではあったもののユリスも部下から気軽に声を掛けられていたので、彼女もそれを受け継いだのだろう
オリヴィア
「そうよ。…補佐官は2人よね?誰が攻めるの?」
レティシア
「顔を晒したままだからな。探った事を報告されねぇ様に…その2人の弱い部分をつつく」
オリヴィア
「出た。悪い事考えてる顔」
カップに唇をつけながらオリヴィアが、片方の口角だけを上げて笑むレティシアを見て呆れた様に顔を引き攣らせる
ルシアン
「接近するとなると、ある程度慣れてる奴じゃねぇと駄目だな」
レティシア
「嗚呼。…面倒だが、男の方は私が行く」
リアム
「お…俺は探る経験ねぇっすから」
レティシア
「心配するな。元々やらせるつもりは無い」
リアム
「何!?」
心配そうに告げるリアムを見ながらレティシアが、当然だと言うように発した言葉にリアムは候補にも入っていなかった事実に声を荒らげる。
だが、そんな事をレティシア達は気にしておらず
ルシアン
「ノアが得意だろ」
頬杖をつきながら話を聞いていたノアにルシアンが話を振る
ノア
「え?オレ?」
ルシアン
「嗚呼、得意だろ」
ノア
「あーダメダメ。今のオレは姫さんしか口説けないっすから」
アーモンド目を細めて笑いながらノアは手を横に振る。
すると、その言葉にルシアンは訳が分からないというように半目で彼を見る