第4章 一員
駄々を捏ねるリアムに付き合いレティシアは暫く付き添うように休憩をした。
それから漸く2人は特別室へ戻ったのだ
ノア
「お帰りー!遅かったね」
レティシア
「リアムが我儘だったからな」
リアム
「はぁ!?俺、今日が初任務だぞ?」
「確かにそれは我儘とは言わないな」
リアム
「だろ!?……ん?」
3人で会話をしていたはずなのにリアムの言葉に返事をしたのは、前日には聞かなかった声。
思わず同意されたのが嬉しくて勢いで答えてしまったリアムは首を傾げる
レティシア
「おー、ルシアン!」
リアムが問うよりも先にレティシアは嬉々とした声を上げて、その人物へ駆け寄り飛び付くとルシアンと呼ばれた黒髪の男は、驚きもせず抱き留め彼女の勢いで横抱きになる。
その男は髪も瞳も黒くここら辺で東洋人は珍しかったが、リアムは目の前での光景を処理するのに忙しく、大きく少しだけつり上がっている目をパチパチと瞬かせる。
リアム
「あの…あれは…?」
ノア
「あー、彼ね。2年の長期任務に行っててさ、今日帰ってきたんだよね」
それにしたってあんなに喜ぶか?と疑問に思ったがレティシアを降ろした人物が、ぼけっとしているリアムに手を差し出した事により意識をこちらに戻す
「ルシアン·ルーセルだ。宜しくな」
リアム
「あ、リアム·ランベール…す。あの2人は…」
どういう関係か、問いたくてルシアンと握手をしつつリアムは控え目に疑問を口にする
レティシア
「昔の男だ」
リアム
「えぇ!?」
ルシアン
「こら、紛らわしい言い方をするな。ただの教育係だ」
さらっと零された言葉にリアムは驚いたものの、それをすぐにルシアンが呆れたように訂正する。
リアムはレティシアの、少し軽くいい加減にも聞こえる声が自分の憧れた人物と重なって仕方がなかった。
リアム
(レティシアは俺よりも1つ上だ…年齢的にはおかしくねぇし、あの感じも似てっけど…)
イマイチ確信を得られないそれは決して問う事は出来なかった。
そうしてやっと帰ってきた仲間がいるというのに、レティシアはまたどこかへ消えてしまいリアムは疑問が溜まり続ける