第15章 人か獣か
レティシア
「おい…何だその顔」
リアム
「いや?」
むふふ、と聞こえてきそうな程なニヤケ顔を晒しているリアムから返ってきた言葉にレティシアはジトっとした目で彼を見詰めた。
レティシア
「その顔は何か言いたそうな顔だ」
リアム
「レティシアが俺等を頼ったなーと思ってな。嬉しかったんだ」
レティシア
「何だそれ。私だって頼るさ」
リアム
「はっ!嘘ばっかり!」
レティシアが顔を背けて吐き出した言葉にリアムは、巫山戯んなという様に、びしっと人差し指を向けて抗議する。
だが、当の本人はそっぽを向いて口笛を吹き知らないフリを決め込む
ルシアン
「こいつもたまには頼るぞ、昔からな」
レティシア
「どうだ!」
ルシアンの助け舟にも似た言葉にレティシアは、すかさずやり返すようにリアムへ人差し指を向け返す。
リアムは、ぐぬぬ…と悔しそうに奥歯を噛んでレティシアを睨む
ルシアン
「おら、いい加減にしろガキ共」
呆れたルシアンから吐き出された言葉に2人が思い切り彼を見る
レティシア
「ガキじゃねぇ!6つしか違わねぇだろ!」
リアム
「ガキはあんまりっすよ!」
ルシアン
「歳を言ったんじゃない。言動がガキだっつー意味だ」
─ピピッ
騒ぎを叱る様に指揮官のパソコンが鳴る。
一瞬にして特別室は静かになり、レティシアはパソコンの液晶に表示される内容を確認し表情が僅かに曇った
レティシア
「正体不明人物に襲われた人が数名出たようだ」
彼女の言葉に全員の表情が引き締まる。
ソフィアは転送された内容を確認し、場所への案内のために地図を開く。
その間にレティシア、リアム、ルシアン、ノアはインカムの電源を入れる
レティシア
「よし、行くぞ」
ルシアン
「嗚呼」
リアム
「おう!」
ノア
「うんっ」
返事をするのを聞いてからレティシアが頷き全員を引き連れて特別室を出て行く。
オリヴィアはその背中へ優しい眼差しを向けつつ、いつもの様に大怪我をしないように願う