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Smile Bouquet

第14章 この言葉を送り返そう




リアム
「押さずに!危ないですから、押さないでください!」


そうは言われても混乱し、自分の命が無くなるかも知れないと感じている住民達は我先にと走って行く。


ノア
「リアムくん!」

ルシアン
「待たせたな」


無線から数分。
ノアの魔法で瞬間移動した2人がリアムの目の前に現れる。
頼もしい2人の登場にリアムは、強ばっていた表情を僅かに崩す


ルシアン
「俺とノアは向こうで逃げ遅れがないか回る」

ノア
「リアムくん、ここ任せても大丈夫?」

リアム
「はいっ」

ルシアン
「じきにレティシアも合流する。良いか、奴に攻撃しようなんて思うな。あいつが来るまで引き付けろ」

リアム
「分かりました!」


ルシアンとノアは目を合わせて小さく頷くと各々別の方へ走り出す。
避難誘導は慣れている人材が行った方がスムーズに進む、それをリアムは特別室で学んだ。

それに、レティシアもじきに来るので任されたのだと思い気合を入れるとリアムは大型魔獣の近くまで走る。
だが、間近で見るとその禍々しさに脚がすくみそうになる。


獅子の様な大型魔獣は紫色のオーラの様な物を纏い、鋭い爪を携えた手を振り回している。
リアムがその大型魔獣に向かって声を張りあげようとした瞬間、泣き声が聞こえてきた



リアム
「大丈夫か!?」


リアムが駆け寄るとそこには小学生くらいの女の子と男の子が居た。
大人の登場により弟であろう男の子を慰めていた女の子の目からは大粒の涙が零れた


リアム
「大丈夫。大丈夫だからな」


「大人の人に巻き込まれて、この子が転んじゃって…お母さんとお父さんとも離れちゃったの」


不安で涙を流しながらもしゃがんだリアムに姉であろう女の子が説明してくれる。
地面に座り込んで泣いている男の子の右膝は、レンガと擦れて血が滲んでいた


リアム
「俺が避難所まで連れて行くから。…君は歩けるか?」


「うん、私は…大丈夫」


大きく頷く女の子を見てリアムは、出来るだけ不安にさせないよう笑顔で振る舞う。
リアムが男の子を背負おうとした時、大型魔獣が彼等の方へ向かい始めた



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