第14章 この言葉を送り返そう
レティシア
「はーい、動くな」
レティシアと彼女の元部下の訪問に異様な空気が漂う室内に居た全員の顔が強ばる。
だが、レティシアの言葉に歯向かうものが1人現れ…その人物のせいで彼女の魔法が発動され、全員が動けぬよう拘束される
レティシア
「…動くなっつったろ」
冷たいレティシアの瞳と声にその場に居た全員が息を呑む。
この日、レティシアと元部下は準備が整った事により男子中学生の自殺未遂の原因になった宗教団体を捕まえに来ていた。
中学生
「ありがとうございました」
レティシア
「約束したからな。助けさせてくれって」
連れて行かれる宗教団体の人を横目にレティシアは、礼を述べる男子中学生に笑いかける。
すると、あの日からは少し顔色が良くなった彼は僅かに口角を上げて笑んだ
中学生
「あんたみたいな守護官に会えて、良かった」
レティシア
「そりゃ光栄」
中学生
「俺…頑張る。魔法持ってるからって…悲観するの、やめる」
レティシア
「嗚呼」
明るい表情を浮かべる男子中学生を見てレティシアは内心安堵した。
一方その頃─…
リアム
「任務完了…っと!」
ソフィア
『お疲れ様で、す。…これで、任務は…終了です。帰還してください』
リアム
「了解!」
リアムは特別室に来てから何度も特別室メンバーと任務を行い、任務がない日はメンバーと鍛錬を積み重ねていたリアムは1人で任務を任されるまでに成長した。
この日も1人で任務を終え、疲労を口から息として吐き出したリアムは特別室へ向けて歩き出す
リアム
(腹減ったなぁ…)
空腹を知らせる様に鳴る腹部を擦りながらリアムが歩いていると、通りかかった噴水広場から食欲を唆る匂いが彼の鼻を刺激する。
殆ど無意識にリアムの脚は、温かみのある赤茶色のレンガに包まれた噴水広場へと脚が向かっていた