第13章 憧れに似ているあいつ
人を助けたい欲が強く、運動神経馬鹿で根性もあり誰よりもすぐに任務実行基地に行くべき人材だとアシルは思っていた。
リアム
「たく、素直に喜べよ。…すぐ基地に異動してやる」
アシル
「はっ。さっさと来れるように頑張れよ」
リアム
「お前こそ、へこたれて辞めんじゃねーぞ」
アシル
「辞めてたまるか」
リアム
「いつか一緒の任務が出来ると良いな」
アシル
「だな」
最後には2人して笑い、がっしりと握手を交わしていた。
それから24歳になるまでリアムは地域密着型の守護所で万引きを捕まえたり空き巣を捕まえたりを繰り返していた。
だが、殆どは買い物を手伝ったり電気の取り換え等の様なものばかりだったのだ。
そんな時に特別室への異動の話がやってきた。
特別室に来た時、レティシアを見て漠然とだが憧れ守護官を目指すきっかけとなった人物に似ていると思ったのだ
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リアム
「俺の中であんたはずっとヒーローだ。俺も誰かのヒーローになりたい」
リアムの過去の話を聞いた特別室メンバーは、ヒーローになりたいという言葉に僅かに笑んだ。…1人を除いて
レティシア
「そうか。…だが、幻滅したろ」
リアム
「は?」
視線を落としながら掛けられたレティシアの言葉にリアムは首を傾げる
レティシア
「憧れて目指すきっかけになった人物が、こんなだらしない奴でさ」
彼女が気まずそうな表情を浮かべていた理由は、申し訳なさからだった。
リアムは一瞬きょとんとするも、すぐに人懐っこい笑みを浮かべる
リアム
「んなわけねぇだろ。まぁ、ちょっとびっくりしたけどな。ヒーローには変わりねぇ。…それに、憧れたあんたとこうして一緒に誰かを守れてるなんて俺は嬉しい」
レティシア
「…そうか」
安堵したように笑むレティシアを見てリアムはあの時、抱いた淡い感情までも呼び起こされてしまうようだった。
だが、それに気付かないフリをしてリアムは特別室メンバーと他愛ない会話を続けた