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Smile Bouquet

第13章 憧れに似ているあいつ




数日後、リアムは休日を利用して写真の人物に会いに来ていた



小さなおもちゃ屋の中からは子供の楽しそうな声に交ざって優しい男の声も聞こえてきて、リアムはゆっくりとその店内を覗く。
中には数人の子供と写真で見た気弱そうな男が居り、リアムは手元の写真と何度も見比べ本人か確認する



男の子
「じゃあ、そろそろ帰るー!」

女の子
「私も!」

男の子
「おじちゃん、またねー!」


リアムが店に入ろうとすると中に居た子供達が出て行き、楽しげな背中を彼が見送っていると男がリアムに気が付き入口まで出て来た



「あの…何かお探し物でも?」


遠慮気味に話し掛ける男の表情はとても優しくリアムは、慌てて持っていた写真をしまい笑顔を向けて頭を下げる


リアム
「買い物じゃないんですけど…少し良いですか?」


顔を上げたリアムの言葉に男は不思議そうにしたが、すぐに眉と目尻を下げて優しく笑うと奥へと招き入れた










店の奥にあった居住スペースに案内されたリアムは、目の前に座っている男へ写真を出した


リアム
「この写真を撮った当時の事…覚えていますか?」


リアムは聞にくい事、話しにくい事であるのが分かっているため彼の表情を窺いながら控えめに問い掛ける。
写真を見た男…ジャンは、そこに映る自身の姿に僅か視線を揺らしてからリアムを見る


ジャン
「この写真は…私が捕まった時の…という事は、貴方は守護官さんですか?」


休日という事もあり私服で訪れた今のリアムに普段の紋章が無い。
その為、彼は驚いた様な…少し怯えた様な表情をリアムへ向ける


リアム
「そうです。けど、勘違いしないでください。ただ…話が聞きたくて」


ジャンの不安な感情を消したくてリアムは慌てて両手を振り笑って見せる。
それが嘘では無いと感じ取ったのか、男は僅かに表情から強ばりを解いてリアムを見詰めた


ジャン
「話…というのは?」

リアム
「この時、貴方を捕まえた守護官の事を聞きたくて」

ジャン
「え…レティシアさんの事を?」


簡単に彼女の名前が出てくるという事は、レティシアがちゃんとこの人と向き合っていた証拠のような気がリアムはした



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