第12章 "印"
両親が宗教にのめり込んでからは外に出ていなかったソフィアは、久し振りの日の明るさに一瞬目眩がするもレティシアのおかげで倒れずに済んだ
ソフィア
「すみません…」
レティシア
「いや。…そこに座ろう」
適度に木々に覆われ日陰が出来ている小さな岩にソフィアへ座るようレティシアが促すと、ソフィアは素直に従う。
スカイブルーの髪を揺らす風が心地よくてソフィアはゆっくりと目を閉じて深呼吸をし、新鮮な空気を肺いっぱいに詰め込む
ソフィア
「私…親に愛されずに過ごして、きたんです…外もお庭しか、出た事が…ありません」
ぽつりと静かに語られる言葉にレティシアは耳を傾ける
ソフィア
「パソコンだけ、与えられて…でも…パソコンの中には、知らない事がいっぱいで…楽しかった、です。知れば、知るほど…もっとを、求めて…しまって……ハッキングが、悪い事なのも知りませんでした。…でも、あの人が来て…から…段々と自分がしている事、は…」
レティシア
「悪い事なんじゃないかと思い始めた」
ソフィア
「はい…あの人は私、が…拒むと手を…あげるように、なりました」
環境は違っても同じ様なそれにレティシアは、ゆっくりと瞼を閉じて細く息を吐き出した。
レティシア
「その焼き印…私が消してやる」
逃げられない様に付けられた焼き印をレティシアが消してくれると言う言葉にソフィアは顔を上げる
ソフィア
「ありがとう、ございます…お願いしま……ぁ」
レティシア
「ん?」
見る度に苦しくて締め付けられる印が無くなるのなら、とソフィアは頼もうと思ったものの途中で言葉を止める。
それを不思議に思ったレティシアは首を傾げ彼女を見詰めた
ソフィア
「これは…そのままで良いです」
レティシア
「え…」
ソフィア
「私が…冒した過ちを忘れない為に、これは…消しません。怯えて…従っていただけとはいえ、誰かを苦しめたのは…事実、ですから…」
布の上から焼き印に触れながら話すソフィアを見てレティシアは、眉を下げ後ろから優しく抱き締める