第12章 "印"
─ ヒガンバナ基地 特別室 ─
レティシア
「ソフィア」
ソフィア
「は、はいっ」
レティシア
「前回のソグンタが出た時の映像あるか?」
ソフィア
「あります。…皆さんが、到着してからを記録しています」
レティシア
「見せてくれ」
その光景をリアムはコーヒーを飲みながら眺める。
普段ソフィアは、少しおどおどしていて話す時も詰まったりするが…仕事の事で問われた時は、とてもハキハキ話していて詰まりも少ないのをリアムは見ていて凄いなと良く感心している
だが、次にはソグンタ…リアムが怪我を負わされたゴリラ魔獣の事を思い出して嫌そうに顔を歪めた
ノア
「なーに見てんの?」
リアム
「あ、いや…」
ノア
「姫さんとソフィアちゃん?…あ!姫さんは駄目だよ、リアムくん」
ソファに座っていたリアムの隣にノアがやって来て、何故か誤解をされたリアムは慌てて手を横に振る。
リアム
「ち、違いますよ!…俺はただ、ソフィアさんってすげぇなって思ってただけで」
ノア
「あー、切り替えね。任務内容の事を聞いたり、任務中は的確でハッキリしてるから動きやすいんだよなぁ」
ノアの言葉にリアムは素直に頷く。
レティシア
「ノア!何呑気にコーヒー飲んでやがる、報告書まだ出てねぇぞ」
ノア
「い、痛い…っ…!」
ソフィアとの会話を終えたレティシアが、ノアの後ろから首に腕を回し軽く締め上げると、その腕をノアが叩いてギブアップする。
レティシア
「ったく」
ノア
「すぐ!すーぐやっから!」
へらへらと笑いながらコーヒーを持って立ち上がると、ノアは自分のデスクに戻り、レティシアはリアムの向かい側に腰を下ろした
もう一度リアムがカップに唇をつけた時、ソフィアが資料を持って彼の横を通り過ぎる。
その際に彼女の首に巻かれていた太めの青いリボンが解け、それが床に音もなく落ちる。
リアムはそれを拾ってソフィアに声を掛けた
リアム
「これ落ちまし…って、その首─…」
ソフィア
「見ないで!」
普段、控えめに話すソフィアが初めて声を荒らげリボンを奪われればリアムだけでなく全員が…1人を除いて思わず驚く。
当の本人も、思いのほか大きな声が出た事と自分の行動に驚いてスカイブルーの瞳を揺らして動揺する