第10章 ※シャボンディ諸島
「ーへぶしっ‼︎」
真鈴が盛大にくしゃみをした。
「…?」
(…誰か噂でもしているのか? …なーんて、ホコリでもたっただけ…よね。)
真鈴はテキパキと作業を続けた。
…数分後。
誰かが扉をノックしてきた。
「はーい」
「俺だ。…入るぞ」
「⁉︎ え、ちょ、ちょっと待って‼︎」
外していたフードをかぶり直し、散乱していた、買ってきた下着類を黒い服でくるめ、買い物袋に突っ込んだ。
…値札を切っている途中だったのだ。
「…入るぞ。」
「どーぞー」
ローがキッドと共に部屋に入った。
真鈴は急いで袋を端に寄せた。
「…俺の部屋。」
「…意外と綺麗じゃねェか。本とか散らかりまくってるイメージがあったのだが…。」
…数分前は本が机に上にに散らかっていたが、ペンギンがお留守番中に片付けたようだ。
「意外じゃねェよ。俺の部屋はいつも綺麗だ。」
「…。」
(…ここに初めて来た時、机の上本が山積みになってたけど…? )
…あえて口には出さなかったが。
「あ、女が片付けてくれてんのか? それなら納得がつくな。」
「あの…違いますよ…?」
おずおずと、フードを引っ張りながら答えた。
「あ、そうなのか⁉︎」
「…ごめんなさい」
「え、いや、謝らねェでも…」
「すみません…」
「また謝った⁉︎ …てか、それくらいで謝らねェでくれよ…か、絡みづれェ…」
「はい…」
「…。」
(これは素のお前なのか? …演技じゃねェよな…。なんか、ベポを見ているようだ…)
ローは脳内で、真鈴とベポを照らし合わせた。
「…あ、なァおい、トラファルガー」
「‼︎ …なんだ」
「さっきから思っていたのだが…この女の名前って、何だ?」
『‼︎』
「てめェも、こいつ、としか呼んでねェから…気になってな。」
ローは真鈴のことを呼べるわけがない。
なぜなら、今まで‘‘清者”としか呼んでいなかったからだ。
(こいつ…多分‘‘清者”の本名知っているはずだよな…。)
実は、真鈴が荷物整理に行っている間、他の部屋をまわりながら、キッドは‘‘清者”について色々と語っていたのだ。
その話の中にはローが知らなかったこともあった。
真鈴の名前の話はしてこなかったが、名前は知っているが、言わなかっただけだろう。