第10章 ※シャボンディ諸島
「ちょ…ちょっ、手ェ痛…」
「! すまねェ‼︎」
パッと手を離した。
「…すまねェ……」
(ペンギンのあの顔…。滅多に表情崩さねェあのペンギンが、頬染めやがった…! アイツも‘‘清者”を気にかけているに違いねェ…)
…ヤキモチ焼きのローであった。
「そ、そんなに謝らないでよ‼︎ ちょっと痛かっただけだから、ね?」
ローの顔を覗き込んで言われた。
「っ‼︎ …い、行くぞ。」
「うん‼︎ 」
思わず、抱きしめたくなったが、我慢した。
…しばらく歩いた後。
人通りが多くなってきた。
「 …ねェ、ロー…」
「なんだ」
「人いっぱいいるから…はぐれそうで…えっと、」
(さすがに手は図々しいから…)
チョン、とローの服の裾を掴んだ。
「…ココ(服の裾)持ってていい?」
「ーっ‼︎」
(可愛っ…‼︎)
…危うく理性が飛びそうになった。
「…ふ…服がのびる。」
「あ、ごめん…」
真鈴がローの服の袖から離した…手をすかさず、ローは掴んだ。
指をすべりこませる。
「‼︎」
真鈴の心臓の鼓動が跳ね上がり、顔が一気に赤くなった。
…ローもうっすら顔が赤みを帯びていたが。
「……こっちのが、確実だろ? 行くぞ…」
「う、うん…っ」
真鈴もローも、お互いの暖かさを感じながら歩みを進めて行った。
ちなみに、
ロー達2人がいい雰囲気の時、ベポはというと。
「ねェねェ、君‼︎ 1人?」
…珍しい雌熊ちゃん(しかも可愛い)を見つけ、ナンパしていた。
その近くをロー達は通りがかったが、無視しておいた。
あと…シャチさんはというと。
…かなり溜まっていたので、きっと出港するまで帰ってこないだろう。
何しているかは、皆様方のご想像におまかせいたします。
ペンギンさんは。
優雅に読書を楽しんでいた。