第20章 力の代償

…が、またすぐに唇を離した。

「…お前のキスはいつも早ェよなぁ…」
「…っ、だ、だって…」
「まぁいいが。…そろそろ眠い、寝るぞ」

ローは真鈴の腕を解き、彼女を逆向きにさせた。
ローに背中を向けている状態だ。
その背中から腕をまわし、真鈴を抱きしめた。

「おやすみ…」
「…おやすみなさい」

(あたたかい……)

2人はほぼ同時に眠りについた。




…次の日。
真鈴はいつもと同じように、朝食を作るために早く起きた。
ローの腕からそっと抜け出す。
…すると、ローの腕がさまよい始めた。

「‼︎」

とっさに部屋の隅に置いてあった巨大ベポ人形を持ってき、さまよっているローの手に触れさせた。

「……いた…」

そのまま人形を抱きしめるロー。

(…なにこの光景、めっちゃ可愛いんですけど…‼︎)

ホワワ…と謎に心が和む光景だが、目的を思い出し、ベポの元へ移動した。

「ベポ…起きてー」

…今まではベポを起こしたことはなかったが、前に、自分が起きる時にベポも起こしてくれ、と言われた。
どうやら自分は仕事を1人でしすぎだと。
3人いるのだから皆でやろう、ということだそうで。
…だから、自分が起きる時にベポを起こすことになったのだ。

「ベ〜ポ〜」

ベポの身体をゆさゆさ左右に揺らした。
ちなみに、ベポの鼻には鼻ちょうちんが出来ている。

「ん〜…アイアイ、キャプテ…ン……」
「キャプテンじゃないよ〜起きろ〜」
「あはは…キャプテンくすぐったいですよぉ〜…」

ベポは寝ぼけたままで、一向に起きる気配がない。
真鈴はベポの頰を両手でパチンと挟んだ…というか叩いた。

「ベっ…ポ‼︎」
「はっ⁉︎」

鼻ちょうちんが割れ、ベポは目を覚ました。

(やっと起きた…)

「あ…真鈴さんおはようございます‼︎」
「…おはよ。見事な鼻ちょうちん作る程に爆睡してたね」
「⁉︎ え、鼻ちょうちん出来てましたか⁉︎」
「うん。立派なのが（笑）」

途端にベポは赤面した。

(あう、可愛い…)

ベポもこんな顔するんだ、と思った真鈴であった。

「いや…恥ずかしいところを見られてしまいました…」
「ふふふ……さ。さっさと準備しちゃいましょ‼︎」
「アイアイー‼︎」
「……なんだ、騒がしい…」
『⁉︎』