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[ONE PIECE] 癒し恋 〜ローver〜

第20章 力の代償



シャチが落ち着きを取り戻した時、ローの膝の上で寝ている真鈴に気がついた。

「真鈴さん…大丈夫なんですか? …というより何故調子を…」
「……。」

ローの表情が曇った。

「あ、言いづらいならいいです‼︎」
「いや、平気だ。…こいつは、あの島のガスに少し犯されてな…」
「えええええええ⁉︎ 大丈夫なんですか⁉︎」

シャチが身を乗り出して聞いてきた。

「…近ェ‼︎」
「あ、すみません‼︎」

少しローから距離をとる。

「…で、容態は……?」
「すぐ異変に気がついて治療した。…今は眠っているだけだ。」
「そうなんすか…。……え、朝島見つけて、戻ってから…ずっと眠っているんですか⁉︎」
「…あァ。今までの疲れが出たんだろう」
「そ…すか……」

しばし部屋が沈黙に包まれた。
シャチが開けっ放しにした扉の外から波の音が聞こえてくる。
そこから入る光はオレンジ色で、今の時間帯をよく示している。
…沈黙を破ったのはシャチだった。

「俺…そろそろ戻ります。他の奴らも真鈴ちゃんのこと心配していたので、報告してきます」
「あァ、頼む。…それと今晩あまりいらねェから」
「え⁉︎ 腹の調子が悪いんですか⁉︎」
「いや…ただ単に腹が減ってねェだけだ。」
「あ、そうすか…分かりました‼︎ では」

シャチは部屋を出、扉をゆっくり閉めた。
そして、扉にもたれかかり、ズリズリと下に落ちた。

「…。」

(大丈夫かな真鈴ちゃん…ほぼ朝から寝っぱなしって…。船長も苦しいだろうな、近くにいながら真鈴ちゃん、ガスにやられたから…)

シャチはローの気持ちが分かったような気がした。

「…シャチ? どうした⁉︎」
「あ、ペンギン‼︎ な、何もねェよ、ちょっとひと休みしていただけだ‼︎ さァ晩飯作るぞー‼︎」
「あっ、おい‼︎」

シャチはすたこらさっさとその場をあとにした。

「あいつ…何かあったな」

シャチが去った後、ペンギンはぽつりと呟いた。
…その頃、ローは。

「…はぁ」

(腹が減らねェのはこの胸の疼きのせいだ…糞っ…‼︎)

チラッと真鈴を見た。
まだ目を覚ましそうな気配はない。

「……早く目を覚ましてくれ…‼︎」

ローは神に祈るかのように、真鈴をギュッと抱き締めながら言った。


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