第2章 【羽京】東の姫君とお見合い
「…まあでも、ええご縁が来た時にこういうの決めとかなアカンしな!」ニッ、とお姫様らしからぬ笑顔で笑った。
ーーそれは確かに淑やかさを求めるご令嬢としては失格かもしれない。けれど、僕からすれば飾り気のない真っ直ぐで、綺麗な笑顔だった。
「え、こういう時って取り敢えず何したらええん…?」「僕も分かんないや」「あー…じゃあ、取り敢えず挨拶だけしましょか」
桜子の一声でスッと少し間を開けて立つ。
「「よろしくお願いします」」
そう言って頭を下げた後に見た桜子の笑顔は、その日の見た中でいちばん綺麗な笑顔だった。
~Fin~