第3章 甘え上手の実
ぶわ、と視界が真っ白に弾けた。
夢からの意識が覚醒するのだ。
意識に押し出されるように
俺はの中から顔をあげる。
「は……、ゲンガー……?」
「ゲッゲ」
「……貴方が乗っかってるから、
変な夢みたでしょ……もう」
耳まで真っ赤になって目をそらす。
ああ、いつものだ。
俺がその夢を知っているなんて、
コイツには分からないのだ。
代わりに夢の事は俺ばかり覚えていて
は忘れていってしまう。
「ゲガッ」
「な、舐めないで……っ」
でも良いんだ、
俺にはいつものが居れば。それで。
END.