第3章 甘え上手の実
「なんだか……今日は機嫌がいいね?」
「そうですか?」
ほや、とした顔つきのからは
普段のツンとした冷たさを感じない。
ベースキャンプに居たとしても
ほとんど自室にこもっているのに
研究室にアルバムをもってきて
のんびりと写真の整理をしている。
「僕はそっちのくんの方が好きだな」
「……やだなあ、やめてください」
変だなぁ、いつもなら絶対に冷たい所だ。
こんな、……こんな…………?
照れたようにすら見える。
いつもはゲンガーに夢中なのに。
そんな顔をされると、色々考えてしまう。
「そうだ、コーヒーとってくるけど
君も飲む?ついでに淹れるよ」
「あ、お願いします」
……うーん、素直だ。
まるで別人、とまでは言わないけど
どんな心境の変化だろうか。