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SketchBook【R18】

第14章 Sketch5 --朝凪のくちづけ



凪いだ波はおだやかにあわい光の稜線を繋ぎ、その後彼の元へと寄せてはまた還っていく。

夏の朝に会うので、彼はいつも涼し気な表情で私を見る。



「……そんなことない。 タクマさんは全然違う」


歳取るワケだ、そう言った彼に私が反論する。


「なにがよ」


「なにが、って…若いし、昔から…スゴくかっこいいし」


興味が無さそうに目線は正面を向いたままの空返事。


「フン…」


もう何年も見続けている彼の横顔。

切れ長の目と、すっとした頬の線は冷たく見えるけどたまに笑うととても優しい。


「……タクマさん、あの」


「ん?」


彼が投げ出した裸足の指先にはいつも砂がついている。

彼は早朝に波打ち際を歩き、暑くなるまでの一時間ほどをこの砂浜で過ごす。



「私…も。 変わったかな? たとえば女らしくなった…とか、思う……?」



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