第1章 導入/調査隊での生活
博士が言うには海域が不安定でどうとか
イルミナフォースによる機械障害がとか
大災害のせいだと考えていたみたいだが
イルミナポケモンの石碑を子供たちが
発見した為にその辺りのレポートは
ほぼ振り出しに戻ったようだった。
(だが本人はすごく嬉しそうだ)
サンドパンに誘われるように
外へと顔を出せば一面しろい雪景色。
まるで本当は誰も踏んだことがない
とでも言うように雪が積もっている。
博士は冒険記オタクなので、
言えば必ずそんなことない!
と言われそうな気はするのだけれど。
ザクザクと深い雪を踏む。
キチンとした装備が無ければ
底なし沼のように私を飲み込む死の世界。
それでも、心奪われる景色だ。
いや……だからこそなのだろうか。
人の強い悪意や敵意に晒されてきた。
ここまでアッサリと何の思惑もなく
全てが美しく厳しい土地は
私の地元だったカントーにはなかった。
森も山も、全て人間のエリアだった。
最近の私はここに来るまでの浅ましさすら
この島の雄大さに溶かされていく気持ちで
ポケモンを撮り続けているのだった。