第3章 お近づきになりたい
つい恨みがましい声色が出てしまった
なにせあれだけ頑張って
やっとゲンガーに会えた所だったのだ。
短い通信を終えてもう一度辺りを見渡す。
「ゲンガー……」
やはりどこにも姿はない。
妙に心がウズウズするというか、
私もゲンガーに惹かれるタイプの
人間なのかもしれない。
ポケモンには実際に会わないと
魅力が分からないというのが信条だ。
ポケモンカメラマンである
私だからこその感覚なのかもしれない。
夜空には三日月が浮かんでいる。
先ほどの不思議な気持ちはなんだったのか
ゲンガーの笑みを思いだす。
私は後ろ髪を惹かれながらも天幕をまくり、
のろのろと寝仕度をするのだった。