第12章 悪いゲンガー(中)
夢から顔をあげた俺は
不安から酷く疲れた心地がした。
レナは、孤独を憎んでいない。
ユラユラ憎しみがくすぶっては消える。
"なんで" から進めないんだ。
レナが夢遊病のように体を起こす。
向き合った俺は口を開け、
呼ぶように手を伸ばした。
虚ろな顔が一瞬安堵をみせる。
お前には今、何が聞こえてるんだろう。
「レナ!?
なにしてるんだゲンガー!」
「!?」
間が悪かったとしか言えない。
様子を見に来ただろうカガミの手から
コップが落ちて騒々しく割れる。
どう見たって俺は殺そうとしてたろう。
一種の催眠状態から覚醒したレナが
震えながら俺の口に手をかけ顔をあげた。
そして、絶望した顔で俺をみるのだ。
「ゲンガー……?」
そうか、
裏切るってこういう事をいうんだな……