第2章 ゲンガーとの出会い
「ゲ!」
いいだろう、とばかりに
カメラが宙に放り出された。
慌てて両手を伸ばしなんとか
カメラを受け止める。
手から落ちてしまったリンゴを
とっさに目で追うも、
地面につく前にスッと消えてしまった。
見渡してもゲンガーの姿はない。
きっとすぐ側でフワリンゴを
丸のみにしたゲンガーが
透明になったまま私を観察している。
証拠もなく漠然とそう思った。
「ゲンガー!あの、私、
あなたの写真が欲しいんだけど」
そう言って辺りを見渡す。だが、
洞窟に自分の声が響くばかりだ。
ため息をつき改めて辺りを確認すると
なんだか雪もなく仄かに暖かい。
「!」
ふと壁に手を当ててみると
ハッキリと分かった。
洞窟自体がうっすらと暖かい!
まるで生きていて体温があるように。