第1章 #00 記憶
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『ただいま〜!』
出久くんとかっちゃんと別れたわたしは、いつものようにおうちに帰る。
「イヴおかえり〜!!今日の夜ごはんはなんでしょう〜?」
『えっとねえっとね……オムライス?』
「正解!!!もうすぐ準備終わるから、手洗ってらっしゃい」
『はーい!』
温かくていい匂いが鼻をくすぐる。
リビングにはテレビの音が響き渡っている。
【 ウイングヒーロー!今日も敵をなぎ倒していきます! 】
わたしの親はヒーローだ。
テレビには、父の戦う姿が映っている。
母もヒーローであるが、まだ幼いわたしの面倒を見るため、どちらかが活動しているときはどちらかがわたしと一緒にいてくれる。
今日は母が家にいる日だった。
ヒーロー一家に生まれたわたしがヒーローに憧れるなんて、必然だったのかもしれない。
テレビ越しに見る両親の姿は憧れで、わたしもこうなりたいと強く思っていた。
困っている人々を笑顔で助けるヒーロー。
No.1ヒーロー。
わたしの自慢の両親たち。
『わたしね、おおきくなったら、お父さんとお母さんみたいなヒーローになるの!』
わたしの口癖だった。
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