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Short Storys

第3章 幼き日の出逢い(BLEACH/日番谷)



「……あんたも、霊力(チカラ)あるんだ。」

「は……?」


漆黒の瞳に意識を奪われていた彼は、静かに口を開いた彼女の言葉を理解出来なかった。

見るからに動揺している少年を見て、少女は少しあきれたように小さく息をつく。


「だから、霊力持ってんでしょって聞いてんのよ。あんたの場合、すごい冷たいわね。」


少年の周りを指差して、少女はつんと言い放った。

そんなことはこの前金髪の女死神に言われて知ってる。

自分が霊力を持っていること、そして一緒に住んでいる祖母が体調が悪いのも、そのあまりの強さ故であるということも。


『このままじゃあんた、おばあちゃん殺しちゃうわよ。』


あの女の言葉が心に重くのしかかったのははっきり覚えている。

それで、彼は自身の霊圧をコントロールし使うため、渋っていた霊術院へ行くことを決めたのだ。


「ねぇ?」


ふと、考え込みすぎて存在を忘れかけていた少女の声に、少年は我に返る。

そして彼女の周りにも霊圧が漂っていることに気づいた。


「お前もか。案外いるもんなんだな。」


そう言って彼も泉の畔に腰を下ろす。

霊圧を持っていることを指摘され、少女は驚いたように目を丸くした。


「霊圧感知能力もあるなんて… 私今霊圧抑えてたんだけどね。」


少女がくすっと笑って言う。

確かに、霊術院に行かずに霊圧感知できる者は滅多にいない。

だがそういう彼女も少年に会った瞬間、彼の霊圧を感じ取っていた。

そして今も霊圧を抑えていたなどと。

何だこいつ……。
少なくとも声には出さない方がいいようなことを思い、あえて彼女の言葉に答えずにいると、暫くの沈黙が訪れる。


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