第5章 ミッション失敗…?
「マイキーくん、家こっち方面なんですか?」
「え?あー…全然別方向だよ」
急に話しかけられたマイキーは顔を上げた。
「じゃあ何で着いて来るんですか?」
「ひとりで帰すの危ねーじゃん…」
「まだ明るいので大丈夫です」
素っ気なく言い返す。
「…なぁ、まだ怒ってる?」
「怒ってません」
「でも素っ気ねーじゃん」
「気のせいじゃないですか」
「いつもの優しい声じゃない」
「普通ですけど」
「怒ってないならさ…オレのほう見てよ」
「……………」
冷めた目をマイキーに向ける。
「ほら…目だっていつもはそんな風にオレを見ないじゃん」
「マイキーくんに向けられた目よりはマシだと思いますけど」
正論を突かれ、“う…っ”っと顔を歪めたマイキーは言葉を詰まらせる。
「ごめん…」
「!」
「怖がらせるつもりも…酷い言葉で傷付けるつもりもなかった…」
「……………」
「震えてた事も知ってた。怯えた顔でオレを見てた事も…」
「…もういいです」
「良くねぇよ!!!」
大声で怒ったマイキーにビクッと身体が跳ねる。それを見たマイキーはハッとしたが、どこか辛そうに顔をしかめた。
「そんな全てがどうでもいいみたいな顔で…“もういい”とか言うなよ。オレがオマエを傷付けて嫌な思いさせちまったんだから」
「…僕は“しつこい”んでしょう?」
「あれは…」
「反省してるんです。抗争を止める為だったとは言え、僕みたいな優等生にあれこれ指図されたらマイキーくんだって良い気分じゃないですよね」
「カノ」
「確かに東卍の役に立ってもないし、出しゃばり過ぎました。だからマイキーくんが謝る事じゃないです」
「…それも、言い過ぎた。本当にごめん。あんなこと言うつもりじゃなかった。反省すんのはオレの方だ」
申し訳なさそうな顔でマイキーはカノトに歩み寄る。
「オマエのこと、本当にしつこいなんて思ってないよ、オレ。あの時は酷い事言ってオマエを傷付けてごめん」
「……………」
「オレさ…オマエと一緒にいると楽しいんだよ」
「!」
マイキーは柔らかげに微笑む。
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