第6章 貞操の危機
「部屋に戻れて良かったですねー」
「いや……」
むしろこれからが危うい気がする冨岡である。
コンコン。
「はい!」
使用人のノックに元気に返事をする華恋。
「お二人共お疲れでしょうからと、金蔵様から紅茶の差し入れでございます」
嫌な予感がする。
十中八九、何か薬を混入されているだろう。
とはいえ、口にしないのも角が立つだろうか……
「……」
「頂きます」
「え?」
隣でゴクゴクとカップの中の紅茶を飲み干す華恋に冨岡が目を丸くする。
「勇子様もどうぞ」
「……頂きますわ」
冨岡だけ断ることも出来ず、半分程飲んだ辺りでそれらしく振舞ってカップを戻した。
「本当に奥ゆかしいお嬢様ですね」
「そうでしょうか、ありがとうございます」
冨岡は口許を隠して静かに笑う。