第2章 傷負う君も愛す
湯浴みを済ませて自室に戻ろうとすると杏寿郎が部屋の前に待っていた
「どうしたの?」
どこかそわそわしている杏寿郎につい笑いが出る
「就寝時は共に過ごさないか」
杏寿郎の提案に思考が止まる
「え?」
「一緒に寝よう」
「で、でもまだ婚約したばかりだし」
「婚約したからこそだ」
「まだ皆さんにお伝えしてないから!」
どうしても一緒の部屋で就寝することを拒む言葉ばかりを出してしまう
痺れを切らした杏寿郎
「おいで」
あの日一緒に寝た時のようにそう言った
しかし今回は強引に腕を掴まれ部屋に引き摺り込まれる
壁に押しやられ後頭部には手を添えられる
近付く杏寿郎の顔
ほのかはふいに顎を引き目線をずらす
すると下から掬うように唇を重ねられる
優しい口付けにくらくらする
初めての経験だった
ほのかは杏寿郎の逞しい胸板に手を添える
すると抱き寄せられ体が密着する
暫くすると唇だけが離れた
苦しくなり吐息が漏れる
「好きだ」
杏寿郎の真っ直ぐな瞳に目が離せない
煩く心臓が鳴る
「一緒に寝るだけだ」
そう言って杏寿郎はほのかを抱きかかえ布団に寝かせる
「少しでも一緒にいたい」
覆い被さるようにほのかを抱きしめる
杏寿郎の優しい声に瞼も重くなってくる
いつしか二人は抱き合ったまま眠りについていた