第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
杏寿郎は天元の言葉に動きを止め、無一郎の言葉に息を吹き返したかのように笑顔で何度も頷きの肩をポンポンと叩いた。
「柱たちや剣士たちを含め怯えているのはただ1人だ!君が脅かす側になれば、終始穏やかに流血なく肝試しを終えられるぞ!」
「え……私だけですか?!カナヲさん、禰豆子さんは怖くないのですか?!夜の人気のない場所で柱の方が全力で脅かしてくるんですよ?」
年の頃が近しい女子2人へ勢いよく視線を動かして見つめるも、2人は顔を見合わせて困ったように眉を下げて笑顔を向け合い、へ向き直る頃には満面の笑みで首を左右に振った。
「私は鬼の方が怖いと思うよ。色んな姿してたし」
「鬼がどんな姿か分からないけど、私は山奥で生活してるし……夜は真っ暗になるからあんまり怖くはないかな」
それぞれ作られた怖さには恐怖を抱かないらしい。
「でも月神は脅かす側だろ?そんなら怖がる必要なくない?」
圭太の最もな意見に顔を輝かせて頷きかけたところで……天元から無情な言葉が発せられる。
「お前らなぁ……怖がる奴がいなきゃ肝試しする意味ねぇだろ!それに姫さんは娯楽を殆ど知らない。これから知っていく第1歩が肝試しだ!分かったか?姫さん」