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月夜の欠片

第1章 ※月夜の軌跡 9章


杏寿郎は仰け反って離れたの顔から視線を胸元へ移し、自らの手で覆っているものを見る。

そこには片手で覆えるほどの大きさの、緩やかな膨らみがあった。
大きさに関して杏寿郎はよく分からないが、指を動かすとふわりと沈み込み、なんとも言えない心地良さを感じる。

「、温かくて柔くて気持ちがいい。ずっと触れていたくなってしまう」

「や……あまり見ないで。はぁ……ん、体がピリピリ……する」

指を動かす度にの体がピクリと震え、今まで感じたことのない感覚に戸惑い、徐々に体が緊張に強ばっていく。
フワフワの胸から手を離すことは名残惜しいが、先にの緊張を解くために背中に腕を持っていき、ゆっくりとポンポンと優しく叩いた。

「それは俺の手の動きに、君が感じてくれている証拠だ」

「感じる……?あの、お腹の当たりがムズムズするのも、関係していますか?」

何も知らないとは時に物凄い破壊力を発揮する。
自分の体の変化を素直に問いているだけなのだが、杏寿郎からすれば欲を暴発させかねない言葉だ。

「そう……だな。の体が俺を受け入れる準備が整ってきているのだが……早いな」

「?杏寿郎君を受け入れる……ですか?」
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