第1章 ※月夜の軌跡 9章
「あぁ、上手だ」
喜びから完全に顔を綻ばせたの唇に再び口付けを落とし、先ほどよりも大きな水音を立てると、やはりの体はピクリと跳ねるが、抵抗することはなく細い腕を杏寿郎の背に回す。
完全に身を委ねたの体から杏寿郎は自分の腕を外し、頬から首をそっと指でなぞると、体が小刻みに震え自然と唇が離れていった。
「杏……寿郎君、あっ……ん!変な声……出ちゃう」
「変な声ではない。俺にとって何より嬉しい声なので、どうか抑えないでくれ」
そう杏寿郎が言葉を紡いでいる間も手は動き続け、浴衣が襟元から徐々に帯の方へとずらされていく。
普段なら恥ずかしくて慌てて止めていただろうが、今のには慌てた様子はなく、恥ずかしげに少し体をよじらせるだけだった。
「」
名前を呼ばれたと認識した時には、既に杏寿郎の指で顎を掬い上げられており、気が付けば舌を絡ませ合っていた。
そちらにが気を取られていると、さらけ出され外気に触れていた胸元が温かなもので包み込まれ、その刺激で僅かに背が仰け反る。
「んっ……ん、ふ」