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月夜の欠片

第3章 第4章 鍛錬と最終選別 243ページ付近


優しい千寿郎の言葉に救われたものの、自分の今日の行動がいかに恥ずかしいものだったのかという事が頭の中を駆け巡る。
世の中の女子は好いて欲しいと思っている相手の……よりにもよって風呂に突撃するような愚行はしないはずだからだ。

「やらかしてしまいました……こんな気持ちになったのが初めてだったので……ただ合格がいただきたく必死で……明日からどのような顔をしてお会いすれば」

落ち込んでいるには悪いと思いつつ、居間に入ってから現在まで表情を忙しなくコロコロと変える目の前の年上の少女が可愛らしく、慰めるより先にやはり笑顔が零れた。

「大丈夫ですよ!兄上が抱き寄せて下さっていたのなら、さんが悲しむ感情は抱いていないはずです!いつも通りの明るく優しい笑顔でいて下さい。兄上もきっとその方が喜びます!」

「俺が喜ぶとは?」

なんとご本人登場。
夜が更けていればこういった心臓に悪い状況は回避出来ていただろう。
しかし残念なことに今は夜と言えど人が眠るには早い時間。
杏寿郎が居間の前を通りがかっても全くおかしくない時間である。

「杏寿郎さん?!い、いえ!あの……その。明日の朝も薩摩芋のお味噌汁をお作りしますね!」
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