第8章 第26章 月と太陽(1874～1878ページ)

(お、怒っていらっしゃる！どうしましょう？！あ、確か冷蔵器の中におはぎがあったはずです！)

どうにか実弥と仲直りをしたいは杏寿郎の手をキュッと握り締めてからその場を離れ、冷蔵器からおはぎを取り出した。

「実弥お兄さん、本当にごめんなさい。あの……おはぎが好きだと聞きまして……お詫びのしるしにこちらを」

まるで神に献上物を捧げるような格好でおはぎを差し出すが実弥の視界の端に映り、気まずさが吹き飛んで笑いが込み上げたようだ。

「ハハッ、違ぇんだ。俺は怒っちゃいねぇ、気ぃ遣わせちまって悪かった。だが、おはぎはありがたくもらうわ……半分食うかァ？」

実弥が怒っていなかったことと、おはぎが半分貰えるかもしれない状況にの表情に再び笑顔が戻った。

「よかったです！杏寿郎君とも実弥お兄さんとも仲直り出来てホッとしました。えっと、半分いただいて……よろしいのでしょうか？」

「ここは遠慮せず分けてもらうといい！そしてそのおはぎは俺が食べさせてあげよう！」

キョトンとすると実弥を置いてけぼりに、杏寿郎は皿の上に乗っていた黒文字を手に取りおはぎを半分に切り分ける。

そしてが食べやすいように更に半分に切ってやり、プスリと黒文字を突き刺して口元に運んだ。

「、あーんしなさい」