第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
まさか庭での会話を聞かれていたとは思いもしない杏寿郎と実弥は門下生たちを居間へ通し、自分たちはまだ怒っているかもしれないに謝罪しようと台所に足を踏み入れた。
そこで目にしたのは使命感に駆られたようにキリッとしながらも、合間合間に口元をウニウニさせている不思議な表情のだった。
「?」
「うひゃい?!あ……杏寿郎君、実弥お兄さん。先ほどは聞く耳も持たず怒ってごめんなさい……」
不思議な表情から一変、しょんぼりと眉を下げてしまった。
謝ろうと思っていたのに何故か先に謝られてしまった2人は困ったように笑いの側へと歩み寄る。
「君が謝ることは何もない。俺たちこそ驚かせ悲しませてしまいすまなかった。仲直りしよう」
頬を撫でながら顔の横に流れる後れ毛を掻き上げられ、は心地良さそうに身を捩らせてニコリと微笑んだ。
「はい!これからもよろしくお願いします、杏寿郎君、実弥お兄さん!」
の満面の笑みに比較的免疫のある杏寿郎はいつも通り優しい笑みを返すも、あまり免疫がなくへの想いで杏寿郎に八つ当たりした実弥は顔を背けてしまった。